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CoFesta Ambassador x FRI:インバウンドツアーの新潮流はここから始まる
「日本コンテンツ・ツアー・プランニング・コンテスト」開催

2016.06.09

日本コンテンツの海外発信強化支援プロジェクト「JAPAN国際コンテンツフェスティバル(以下、コ・フェスタ)」は、主に外国人留学生で構成された 「コ・フェスタアンバサダー」を対象に「日本コンテンツ・ツアー・プランニング・コンテスト」を開催しました。本コンテストは2016年3月16日、経済 産業省本館にて行われ、中国、フィリピン、ベトナム、インドネシア、フランスのコ・フェスタアンバサダーが参加。映画やアニメ、ファッションなど、日本コ ンテンツを取り入れたインバウンドツアー企画を発表しました。

Fields Research Institute(FRI)では約1年間に渡って、コ・フェスタアンバサダーの活動を取材してきましたが、本コンテストはその総決算ともいえる一大イベ ントとなります。数々のイベント取材を通じて、日本コンテンツへの知見を深めてきたコ・フェスタアンバサダーが練り上げた自慢のアイデアだけあって、ツ アー企画はいずれも外国人ならではの斬新なものばかり。審査員を務める日本コンテンツ業界関係者の熱視線が注がれるなか、各国チームによる熱のこもったプ レゼンが次々と披露されていきました。

■ 中国チーム「5→9 ~私に恋したお坊さん~」× ドラマシーン情報サイト
 

コンテストのトップバッターを飾ったのは、中国チームによるテレビドラマ連携企画で、メインターゲットは日本の美容や食事などにあこがれを持つ中国人女 性。タウン情報サイト『Hot Pepper』と連動した中国人向けのパソコンサイトを提供し、ドラマで使用されたファッションを購入できるショップや、登場人物のヘアスタイルを再現で きる美容院、ドラマで使われた飲食店などをサイトで案内することで、中国人旅行者のさらなる集客を目指していきます。
サービスの提供プラットフォームにスマホではなく、あえて"パソコン"を選んだ理由として「今なお、中国ではパソコンが圧倒的に主流」と中国特有のインターネット事情を説明しました。
さらに、特設サイトでは、ドラマから好きなシーンを切り取ってオリジナルの「ステッカー」を作成できる機能も提供。中国最大のSNSである『微信 (WeChat)』ではステッカーによるやり取りが非常に盛んであり、ステッカーからブームが生まれることも珍しくないそうです。ゆえに、ステッカーの高 い拡散力を利用すれば、ドラマや俳優のプロモーションも極めて効果的に行えるという持論を展開しました。


■ フィリピンチーム『ザ・リング』× ホラーツアー

二番手のフィリピンチームが発表したインバウンドツアー企画は、審査員の意表を突く"ホラーツアー"で、コラボ先のコンテンツには日本ホラー映画『ザ・リング』を提案しました。
プレゼンターによると、フィリピンではホラー映画が一般大衆に深く受け入れられており、特に『ザ・リング』の看板キャラクターである「貞子」は、本編を観 たことがないフィリピン市民にも「SADAKO」として高い知名度があると力説。例えば、マニラのハロウィンでは、毎年、貞子に扮装したフィリピン人がかならず現れるほか、最近では、Facebookページフォロワー数560万超を誇る人気コスプレイヤーが貞子に扮して大きな話題を集めたそうです。
こうしたジャパンホラー・ムーブメントの受け皿として、東京近郊でホラー関連の注目スポットを満喫できるパッケージツアーを企画。観光スポットとして『富士急ハイランド・絶凶戦慄迷宮』、旅館は『那須・喜楽旅館』、レストランは『監獄レストラン ザ・ロックアップ』といった具合に、多種多様なホラースポットを案内すれば、まさに日本でしか体験できないツアーとして、フィリピン人観光客のあいだで大 きな話題になると強調。さらに「イメージキャラクターは貞子が適任。ツアーのガイトにも貞子のコスプレイヤーを手配したい」と語るなど、本企画における貞 子の重要性を再三にわたって強くアピールしていました。


■ ベトナムチーム『BeauTV〜VoCE』× 女子キレイ旅

ファッションに敏感な"ベトナム女性"にターゲットを絞った企画として注目を集めたのが、ベトナムチーム発案の美容ツアーの旅です。プレゼン冒頭から「日本人女性は"キレイ"をうまく作っている!」と歯に衣着せぬ見解を述べるなど、率直な意見を次々と披露。これには会場からも思わず笑い声が漏れるなど、プ レゼンテーションは終始和やかなムードで進行しました。
まずベトナムチームは、日本の美容事情を深く知りたいベトナム人女性は多いのに、その受け皿となる情報源が不足している現状を指摘。そんな不満に応えるべ く提案されたのが、テレビ朝日系列の美容テレビ番組『BeauTV〜VoCE』とタイアップし、コスメ商品の購入からメイクテクニックのレクチャーまでを総合的を案内してくれる"美容"インバウンドツアーです。加えて、ベトナム国内では、現地女性を起用したベトナム版『BeauTV〜VoCE』を放送し、ツアーのプロモーションとして役立てていきます。
同番組がベトナム人女性のあいだで話題になれば、インバウンドツアー拡大はもちろん、美容グッズの消費増大も見込めるほか、多数の番組スポンサーの参加も 狙えると主張。ベトナム版『BeauTV〜VoCE』をインバウンドツアーの導線として活用し、将来的には小売や美容品メーカー、メディア、広告業界な ど、多業種をまたいだ巨大エコシステムを構築したいという展望を披露しました。


■ インドネシアチーム『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』× クール埼玉アプリ

約1万7000以上の島々と7万語以上の言語が存在するという、複雑な国内事情を抱えるインドネシア。インドネシアチームによると、こうした問題に対応するには、"スマホアプリ"による観光情報の提供が最適であるといいます。問題はアプリ開発をどうやって進めるかという点ですが、そこで目を付けたのが人気 アニメの舞台を"観光地"として活用するという方法です。
その代表例として挙げたのが、"埼玉県・秩父市"。秩父は、2011年に放映された大ヒットアニメ『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』(以下、あの花)の舞台になった地であり、今なお多数のファンが「聖地巡礼」に訪れています。
熱烈なアニメファンの場合、膨大な作品データベースを自主的に制作したり、好きな作品のためならどんな手間も惜しまないといわれています。プレゼンターは そんな日本のアニメファンを評して、「好きな作品のライブチケット代に、なんとクルマ1台分もつぎ込んでしまう人もいるんです!」と声高にコメント。アニ メファンの情熱に心底圧倒された経験を赤裸々に語りました。
ゆえに『あの花』のためであれば、熱心なアニメファンはインドネシア人が求める秩父の観光情報も喜んで提供してくれると力説。それに、熱烈な作品愛を持っ たファンからの情報提供であれば、秩父の観光スポットやグルメ、交通情報などもより密度の高い内容になると審査員に強くアピールしました。


■ フランスチーム『ジブリ』× エコツーリズム

コンテストの締めくくりに登壇したフランスチームは、"エコツーリズム"と"ジブリ作品"を融合させたインバウンドツアー企画を提案。自由を何より好み、 エコ意識も高いフランス人は、訪日中はJRグループの外国人向け乗り放題乗車券「JAPAN RAIL PASS(ジャパン・レール・パス)」を利用して、環境に優しい列車旅を気ままに楽しみたいと考えているそうです。そんなフランス人の気質にピッタリとハマる日本コンテンツが、グローバルな人気を誇る"ジブリ作品"だと語ります。
ジブリ作品をコラボ先として選んだのは、フランス国内でジブリ映画は「Miyazaki」作品として高い知名度を持つためであり、現に『千と千尋の神隠 し』と『ハウルの動く城』の両作品は、非英語圏の作品としては異例の観客動員数100万人を突破しています。「ジブリ作品の世界観は壮大。人同士の絆や自 然とのつながりに魅せられている」と、フランスでジブリ作品が広く一般に受け入れられている点を説明しました。
こうしたジブリ作品の高い知名度を利用して、フランス人観光客向けに独自の"ポイントシステム"を提供。例えば、エコやジブリに関連した観光スポットへの 訪問や、環境に優しいアクティビティへの参加体験をSNSに投稿すると、「トトロポイント」を獲得できます。集めたトトロポイントはジブリ関連施設や公式 ショップでの割引購入に利用できるほか、フランス帰国時にはオーガニック食品や飲料、地方の名産物などのお土産と引き換えることも可能です。また、JRグループやジブリにとっても、CSR活動のアピールによるイメージ向上をはじめ、トトロポイント提供による売り込みエリア誘導を期待できるなど、サービス提供側の企業にとっても大きなメリットがあると強調しました。


■ 最優秀賞はベトナムチーム、優秀賞はフランスチームの手に!

厳正な審査の結果、優秀賞はフランスチーム、最優秀賞はベトナムチームが選ばれました。審査結果の発表を担当した経済産業省メディア・コンテンツ課の山室 課長補佐は「各チームの企画それぞれに、国の違いが如実に現れていて非常に興味深かった。アンバサダーの企画を聞いて、やはり現地の方に合ったソリュー ションを提供していく必要があると痛感した」とコメントし、今後のインバウンドツアーが進むべき方向性を示唆しました。
閉会の挨拶には、コ・フェスタ事務局のVIPO(映像産業振興機構)・森下氏が登壇。「アンバサダーやスタッフたちは、前日は徹夜もするなどして、入念に準備を重ねてきた。その結果、いずれのチームも非常に素晴らしいプレゼンテーションができたと思う」とコンテストを締めくくりました。

本記事は、日本が誇るコンテンツや各種イベントを効果的に海外に発信するための、海外発信力強化支援プロジェクト「コ・フェスタ」と、エンターテイメントの研究を行うフィールズ研究開発室「FRI」のコラボレーション企画です。